平成19年度合同学術研修会

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平成19年度合同学術研修会

020本年で第11回となる東京医科歯科大学歯科神奈川同窓会・東京歯科大学神奈川県支部連合同窓会平成19年度合同学術研修会が11月18日午後1時より神奈川県歯科医師会館にて行われた。

寶田先生の講演「選択肢を増やすためのインプラント治療」
各 地で開催されるインプラント関係の会ではここ2、3年参加者が急増している。その要因は、かってのインプラントに対する悪いイメージが払拭され、チタンに よってもたらされたインプラントの卓抜した機能が患者自身の実感として評価され、需要が急速に高まったことにある。それに保険診療制度の改悪により落ち込 んだ収入をカバーするために有力な手段として多くの歯科医師がインプラントの導入を考えていることもある。ブローネマルクにより導入されたチタンを基材と したインプラントは、いわゆるOsseointegurationにより骨と接合しその予後が画期的に改良された。現在国内で販売されているものはほとん どがチタン製である。かって天然歯と結合しなければ維持が困難だったものが単独植立が可能となり20年、30年のオーダーで予後が語られる時代となってい る。インプラント治療の目的は補綴であるが、その根幹は口腔外科であり、全体像としては臨床各科の包括的な総合歯科医療と考えられる。このことを忘れると 経過不良症例の増加や偶発症・合併症が避けられない。日常臨床ではこのことを念頭において技術的にも問題の少ない標準的な症例に限るべきだ。難症例に関し てはしかるべき施設にゆだねなければならない。
2008-002この後多数の症例が供覧され、まとめとして以下の項目が示された。
ポイント:1インプラン ト治療は包括的医療だが、その基盤をなすのは口腔外科である。ポイント2:インプラントは予後が良好であり機能の回復が優れているため、欠損補綴の第一選 択であろう。ポイント3:適応拡大のための手術を要する患者または全身管理を要する患者は二次医療機関にゆだねたほうが良い。ポイント4:開業医は自身の 技術に応じて確実安全な手術に徹するべきだ。安易に新技術に手を出してはならない。ポイント5:標準的な症例に対して安全確実な手術を施し、満足の行く報 酬を得ることに徹するべきである。

矢島先生の講演「安全で確実なインプラント治療をめざして」
近年、インプラント治療は欠損補 綴の一手段としての地位を確立し、長期予測性と維持安定性が証明されるに至っている。一方、患者の権利意識の向上、価値観の多様化、情報の氾濫の故に、 「医療消費者の誕生」(日経メディカル)がさまざまなところで話題になっている。医師、歯科医師に対する無条件の尊敬は期待できず、患者は物言う消費者に 変貌した。医療裁判においても「医療水準の高度化」、「注意義務違反の範囲の拡大」が最高裁の判例として提示され、私たち歯科医師にとってさらに厳しい社 会情勢となっている。したがって今後インプラント治療に関するトラブル症例も急激に増えてゆくことが予想される。我々の施設でも約2年間で65例のトラブ ル症例が紹介により来院している。この中には神経麻痺や上顎洞内インプラント迷入などの重篤な偶発症も含まれる。このような中で安全確実なインプラント治 療を進めていくためには、地域のインプラント治療の発展のために大学病院などが核となって、開業医の診療室との密接な連携を基にインプラント治療のための ネットワークを形成する必要があると考えられる。言い換えれば地域の「インプラントコミューン」の構築が重要であると思われる。

お二人の講演の後東京歯科大学の中島 信也先生の座長で質疑応答がおこなわれ、時間いっぱいまで活発な意見の交換があった。